「孫さんの運命学」の考え方

孫信一

遠い昔から吉凶を定め、運命を知るためにいろいろな占いがありました。運命を知るために古代中国より研究され、伝承されてきたのが四柱推命です。四柱とは年月日時の四つの柱という意味で、生まれた年月日と時刻によって運命を知ることができるというものです。中国では命理、子平、八字などと呼ばれ、はるか古代から長い時間をかけて検証を繰り返して発展してきました。

本書は幸せな人生を送るために運命を知りたい人へ向けて、四柱推命の基礎的な知識から実際の運命の判断までを詳しく説明したものです。

四柱推命は長い歴史の中でいろいろな解釈が生まれました。その中で古典的名著とされるものがいくつかあり、それが正統として現代に伝わっています。しかし、これらの名著のほとんどは詩を詠んでいるような表現であり、正しい解釈はその時代の中国語の正しい知識と深い読解力がなければ困難です。四柱推命の歴史的名著では、著者の考えは矛盾していなくても、読者は書かれた文書を深く理解しないと矛盾していると感じる箇所があったり、もともと難解な文書で解読不能な部分があったりします。また、古代より中国文の特徴として、文章の格調、品性の点から同じことばを繰り返し使用しないという習慣も理解を混乱させることがあります。さらにそれらを用いて鑑定する占い師が書籍から得られる知識以外に、自分の経験や想像を加えて憶測を述べてしまうことが大きな問題であり、論理的な学問としての確立を阻んできました。日本では翻訳書の解釈が間違っていたり、流派によって見方が異なっていたり、もともと四柱推命にはなかったものを付け加えたりしているものもあります。

わたしは古今東西の哲学とともに、いまも四柱推命を学問として学び続けています。四柱推命はなぜ人の運命を知ることができるのかは未だに解明されていませんが、わたしは長い歴史の中でいろいろなものが追加された四柱推命を整理しなおしました。確実でないものは捨て、運命を的確に判断できるものだけを残しました。四柱推命の本質を整理して、重要でないものやあいまいなものはそぎ落として必要なものだけに絞り込み、矛盾しないように理論を組み立てました。

わたしは理論から導き出された判断をそのまま述べてきました。的中しなかったときは、なぜそれが的中しなかったかを考えました。四柱推命の理論の中で再考し、反証が可能な理論を探しました。このことを繰り返すことにより、的中率は高くなっていきました。わたしは中国、日本、フランスをはじめアジア、ヨーロッパなど世界各国の多くの人たちの運命を50年以上みてきました。経験を積むことで重要なものとそうでないものの峻別は進み、的中率はさらに上がり、わたしの運命学は確立したといえます。若い時のわたしは、四柱推命で本当に人の運命をみることができるという確信はありませんでした。しかし、いまは運命をみることができるという確信があります。わたしの判断とその後に起こった現実を実際に比べてみると、いま、わたしは「運命をみることができる」と断言できます。

本書を理解すれば、わたしとすべて同じ判断とはいえないものの、かなりの確度で運命をみることができるようになります。

中国には、「早知三日事富貴萬々年(起こることを3日前に知ることができれば富も地位も思いどおりになる)」、「居安能思危災星化煙」(安全なうちに危険がわかれば、災いは煙と化す)という故事があります。

占いをみるとき、日本人はよいことだけを信じて悪いことは聞かないという傾向がありますが、中国人はよいことでも悪いことでも当たらないと怒ります。悪いことであっても知ることは大切なことです。「」(君子は悪いことしか聞きたくない)という昔からの故事もあります。未来の災いを避けるために対処したいので悪いことを聞くのです。よい運命はチャンスを生かし、悪い運命は避けるために対処することが大切です。

孔子は「三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」といいましたが、50では遅すぎます。もっと早くから運命を知っていれば、運命を受け入れて対処する時間がそれだけ多くなりますから、20代で運命を知ることが理想的です。実際にわたしは20代で四柱推命を勉強したお陰で、いろいろな災難を避けて、いままで自由に、幸せに生きてきています。

人は哲学や宗教に惑わされたり自分自身を見失ったりすることもあります。現代の日本では仕事も結婚も個人の自由な意志で選ぶことができます。家の事情や地域の風習に縛られることなく、個人が自分の判断で人生を歩める環境でこそ、運命を知ることは大切なことです。人が知りたい未来のことは、財産、健康、恋愛、結婚、仕事そして家族のことです。財産をつかむチャンスの時期と失いやすい時期がわかれば財産を守ることができます。いつどこの部位の健康に注意するべきかがわかれば予防することができます。良縁の時期がわかっていればよい結婚ができます。どのような仕事に適性があるのか、現在の仕事はこのままでよいのかがわかれば能力を発揮できます。

人は生まれてくる時代、国、両親を選ぶことはできません。生まれてくる年月日時刻を選ぶこともできません。生まれつきの風貌や個性も変えることはできません。自分が歩んできた人生の過去の事実も変えられません。これらの変えられないことを知るということは、自分のことをよく知るということです。しかしいまの自分のこころの持ち方、いまの自分の行動は変えることができます。幸せはそれを感じるそれぞれのこころの持ち方にあるのです。不運な時期を知り、現実を受け入れて、対処することを考えれば、いまの自分は変わります。運命を知ることで、未来の運命は変えることができるのです。災いを避けて幸せを手にすることができるのです。わたしが運命をみた人で、このことに気づいて、幸せをつかんだ多くの人をわたしは知っています。

わたしたちは毎日を楽しく生きていくことこそ大切です。困難や危険に備えて準備を怠らず、天命に背かず、災いを転じて福とするためにわたしの運命学はあります。みなさんが未来の運命は変えられることに気づき、幸せをつかんでいくことをこころより願っています。