「孫さんの四柱推命運命学」の考え方

孫信一

遠い昔から吉凶を定め、将来を予言するためにいろいろな占いがありました。自分自身の運命を正しく知ることは大切であるとともに、とても難しいことです。哲学や宗教に大きく惑わされ、自分自身を見失うこともあります。現代のような自由な時代では、人々はますます自分の運命を知りたくなります。運命を知り、またそれを信じることは、幸せな人生を送るためには必要なことです。

運命を知るために古代中国より研究され、伝承されてきているのが、ここで紹介する「四柱推命学」です。四柱とは年月日時の四つの柱という意味です。

人は生まれた年、月、日、時刻によって、自分がどんな運命を持っているのか知ることができるという理論です。この本は運命とはどういうものか知りたい人々のために、四柱推命学の初歩から実際に自分の運命を鑑定できるまで、できるだけわかりやすく説明をしたものです。

誰しも、どんな人生が待ち受けているのか、いつまで元気でいられるのか、仕事を続けられるのかなど、将来のことが気にかかります。だからこそ、占いが世界中で愛好されているのでしょう。しかし、占いに翻弄されては何にもなりません。運命には、よいことも悪いこともあります。よい運命を活かし、悪い運命は受け入れ、それを避けるようにすれば、誰でも幸せになれます。中国のことわざでは、「早知三日事富貴萬々年(3日後のことがわかれば大金持ちになる)」といいます。占い師が運命をみる時、日本人はよいことだけを信じて悪いことは聞かないという傾向がありますが、中国人はよいことでも悪いことでも当たらないと怒ります。それは、悪いことであっても「知る」ことの大切さを理解しているからです。「」(君子は悪いことしか聞きたくない)という、昔からのことわざもあります。未来のことを知れば、人はより幸せになれる方法を自ら見いだせるのです。

わたしは古今東西の哲学を幅広く学ぶとともに、今も四柱推命学を学び続けています。なぜ四柱推命の理論によって正しく運命を知ることができるのかは、今でも解明されていませんし、わたしにもわかりません。四柱推命学は古くから伝えられ、古典的名著とされるものもいくつかあります。しかし、これらのほとんどは詩を詠んでいるような表現であり、正しい解釈はその時代の知識とよほどの読解力がなければ困難です。まして翻訳書では正しい意味は伝わりません。日本の四柱推命は流派によって見方が異なっていたり、もともと四柱推命にはなかったものを付け加えたりしてしまっています。わたしは長い間にいろいろなものが追加された四柱推命を、正しく整理しなおしました。確実でないものは捨て、正しく運命を的確に判断できるものだけを残しました。わたしの四柱推命による運命の見方は、あいまいなものではなく論理的です。そしてとてもシンプルです。

若い時のわたしは、四柱推命学で本当に人の運命をみることができるという確信はありませんでした。しかし、30年以上、中国、日本などのアジア、ヨーロッパそして世界中の人々の運命をみてきて、正統の四柱推命学は正しく運命をみることができると確信するに至りました。わたしの四柱推命学での判断とその後に起こった現実を比べてみると、今、わたしは「運命をみることができる」とはっきりいうことができます。そして、運命を知ることにより、誰でもいっそうの幸せを手に入れられるのです。

孔子は「三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知る」といいました。早くから運命を知っていれば、自分の運命を受け入れ対処する時間がそれだけあります。わたしは、20代で運命を知ることが理想的だと考えます。実際にわたしは20代で四柱推命を勉強したお陰で、いろいろな災難を避けて、今まで自由に、幸せに生きてきています。

四柱推命学は奥深い学問であり、今まで、四柱推命学をわかりやすく説明することはとても不可能だといわれてきました。しかし、わたしは長い歳月をかけてこれを可能にしました。わたしは理論を整理し、この本のためにさまざまな早見表をつくりました。この本の内容をよく理解すれば、わたしがみるのとまったく同じではないにしても、相当な精度で自分の運命を判断することができます。

四柱推命は昔からありましたが、今ほど個人が持っている運命そのものが現実になりやすい時代はなかったのではないかと思います。今の日本では、仕事も結婚も個人の自由な意志で選ぶことができます。家の事情や地域の風習に縛られることなく、個人が自分の判断で人生を歩める環境でこそ、運命はその力を最も発揮するといえるでしょう。

この本の中で説明する内容は、誰にでもかかわりの深いことについてです。結婚については、早くから良縁の時期がわかっていれば結婚することができます。女性は結婚によって運勢がよくなることも多いのです。健康については、どのような時期にどこの部位の健康を損ないやすいかかがわかり、予防をすることができます。仕事については、どのような仕事が向いているのか、現在の仕事はこのままでうまくいくのかなどがわかります。家族については、子供が何人生まれるのかなどがわかります。

人生において幸せのポイントは、誰にも共通する健康、家族、仕事といったことです。お金だけの問題ではありません。幸せはそれを感じるそれぞれのこころの持ち方にあります。

人は、生まれてくる時代、国、両親を選ぶことはできません。生まれてくる年月日時刻を選ぶこともできません。あなたの生まれつきの風貌や個性も含めて、これらのことは変えることができない宿命です。自分が歩んできた人生の過去の事実も変えられません。しかし、今の自分のこころの持ち方、今の自分の行動は変えることができます。不運な時期を知り、現実を受け入れて、対処することを考えれば、今の自分は変わります。運命を知ることで、未来の運命は変えることができるのです。災いを避けて幸せを手にすることができるのです。わたしが運命をみた人で、このことに気づいて、幸せをつかんだ人をわたしは何人も知っています。

みなさんが幸せになることがわたしの運命学の目的であり、また、この上ない喜びです。みなさんが、未来の運命は変えられることに気づき、幸せをつかんでいくことを、こころより願っています。